現代の観客のための能『新作能「長崎の聖母」「ヤコブの井戸」』上演決定。2演目セット券をカンフェティで限定発売。 古典のその先へ。いまの時代に生きる新作能2 作品を一挙上演!
http://www.confetti-web.com/tessenkai
通常チケット:一般:4,500円(全席自由・税込)
2演目セット券:8,000円(全席自由・税込)
※セット券はカンフェティ限定発売です。日時によってA~Hパターンがございます。
公式ホームページ
https://tessen-contemporary.com/2021/
現代の観客のための能
本企画で上演する故・多田富雄作「長崎の聖母」(2005 年長崎にて初演)とディートハルト・レオポルド作「ヤコブの井戸」(2019 年欧州にて世界初演。今回が日本初演)は、まさに現代の観客のための能です。「長崎の聖母」は原爆投下を描くことで、近代科学技術が産み落とした核兵器の悲惨を訴えます。「ヤコブの井戸」は、異なる民族同士が砂漠で水を分け合うという新約聖書の一節を元に創作されました。今なお世界中で続く民族・宗教間の諍いの和解への可能性を描き、真の多様性とはなんなのかをグローバル時代を生きる私たちに問いかけます。
現代の多様な観客に訴える新しい能の表現を追求
本企画では、作品内容だけではなく表現方法の面でも、現代の多様な観客に訴えるために、現代舞台芸術の劇場である座・高円寺での上演、舞台美術・照明・映像の導入などに挑戦します。そのために、現代演劇で長く活躍する劇作家・演出家の佐藤信(演出協力で参加)や、映像デザインの飯名尚人ら異なる才能を集めて、チームづくりを行いました。また、英語字幕投影も実施し、日本語話者以外の層にリーチアウトします。
さらに、通常は地域の合唱団に依頼している「長崎の聖母」の聖歌を、メゾソプラノ歌手の波多野睦美が引き受け、表現の一翼を担います。そして、「ヤコブの井戸」ではオーストリアとポーランドの俳優が参加、アイ狂言(野良猫)は原語のドイツ語で上演します(日本語・英語字幕あり)。
- 演目について
『長崎の聖母』作:多田富雄
津和野からの巡礼者が真夏の陽の下、長崎・浦上天主堂を訪れ、一人涙する老女に出会う(津和野は明治初年の厳しいキリシ タン弾圧「浦上四番崩れ」によって浦上から多くの信者たちが流され拷問にかけられた土地の一つ)。老女は1945年8月9日に 火の海となった浦上での被爆の有様を語り夕闇に消えていく。巡礼者は天主堂の修道僧とともに祈り、聖歌が響く中、青い ベールの女が現れる。その姿は被爆者の霊か聖母か。女は聖母マリアの慈悲を伝えるために現れたと言い、長崎の復活、世界 平和と魂の救済を祈り舞を舞う。原爆の能をという長崎市民の求めに応じて創作され、2005年浦上天主堂で初演された。科学 と世界諸問題に関するパグウォッシュ会議長崎や、核拡散防止条約検討会議開催中のニューヨーク、そしてウイーン・パリ・ワ ルシャワなどでも上演。曲中の聖歌は毎回現地の合唱隊によるが、今回はメゾソプラノ歌手の波多野睦美が出演。
『ヤコブの井戸』作:ディートハルト・レオポルド
二人のユダヤ人がヤコブの井戸でパレスチナ人の女に出会う。女は、何百年もの昔、ユダヤ人はサマリア人との接触を避けていたにもかかわらず、サマリア人の女性にこの井戸で水を分け与えたユダヤ人男性の話をする。
対立する二つの民族が砂漠で一つの井戸の水を分け合うという「新約聖書」ヨハネの福音書の物語を題材にした能。今なお世界で絶えぬ民族間、宗教間の諍いに疑問を呈し、象徴としての水を分け合うことの意味を問う。ウィーンの心理学博士でアート・キュレーターのディートハルト・レオポルドと清水寛二が数年に渡り対話を重ねて創作した作品。2019年にウィーン(主催:墺日協会主催、会場:オデオン座)、パリ(主催・会場:パリ日本文化会館)、ワルシャワ(主催:ワジェンキ美術館、会場:ロイヤルシアター)で世界初演、今回が日本初演となる。2019 年の初演では現地の俳優が参加し、多国籍プロダクションで上演された。今回もポーランドとウィーンから初演に出演した俳優が参加、アイ狂言はドイツ語で上演する(英語・日本語字幕あり)。